中国 [編集]
執行方法は公開銃殺刑が基本であるが薬殺刑も一部で導入されつつある[15]。中国の場合は、賄賂授受・麻薬密売・売春及び性犯罪など被害者が死亡しない犯罪などでも死刑判決が下されたこともある。また死刑を犯罪撲滅に対する最大の効果があると司法当局が確信しているため、死刑の適用が多用されている。例えば2001年に中国国内で犯罪に対する『厳打』キャンペーンが行われ、暴力による刑事事件だけでなく「株式相場の混乱」といった経済事件まで死刑判決が下され、合せて2960人に死刑判決が下され4月から7月までに1781人に対し死刑が執行された。このように中央からのキャンペーンで地方が暴走することもあり、例えば四川省の検察当局は「迅速な逮捕、迅速な裁判、迅速な結果」の結果、6日間に19000人以上が逮捕され、裁判所も証拠調べを充分に行わずに裁判を行った。そのため結果的に誤判が大量に発生したと見られ冤罪による死刑も多く行われたと言われている。また、このようなノルマを課した犯罪撲滅キャンペーンの結果、現場レベルでは自白を引き出すために暴力的な尋問と拷問が行われ、結果として重大な人権侵害が行われているとの指摘もなされている。
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中華人民共和国の刑罰体系では一部の犯罪に関して下された死刑に執行猶予が付せられる規定(中華人民共和国刑法43条[16])がある(とはいえ、この執行猶予はいわゆる再教育を目指すものである。実際に反革命行為に対する死刑宣告を受けたものを死刑の重圧をかけて『労働改造』する目的があると言われている。著名な執行猶予付き死刑を宣告されたものに江青がいる)。2007年には賄賂を受け取った高官が死刑に処され、麻薬を中国から持ち出そうとした日本人2名に死刑判決が下されている。なお、過去にイギリスやポルトガルの植民地であった香港(1993年廃止)とマカオには現在でも死刑制度が無い。なお、中国政府は北京オリンピックを控え国際世論、特に死刑制度を廃止している欧州諸国からの批判をかわす為、2007年以降は公開処刑は行わないことを発表した。またフランスのサルコジ大統領が2007年11月に中国訪問した際に胡錦濤国家主席に対し「完全な廃止は求めないが、執行停止に向けた動きを強めてほしい」とに注文した事に対し、「死刑適用のケースを減らしたい」と回答したが具体的な数字についてはふれていない。
また司法制度改革として、従来死刑執行命令を出す権限を持っていた地方の高級法院(日本では高等裁判所に相当)を取り上げ、中央の最高法院(最高裁判所)で死刑判決が妥当に出されたかかどうか「審査」したうえで、死刑執行を決めるとしている。なお、中国の刑事裁判は二審制であり、死刑判決を下すのも執行命令を出すのも司法官僚である。
問題点として、中国において三権分立が成り立っておらず、法治主義ではなく役人等の意向が強く反映されている人治主義である点が指摘されている。そのため、死刑を宣告するにしても司法機関において近代的刑事訴訟手続が要求する法手続きが充分整備されていないとの指摘がある。 また死刑囚からの組織的な臓器移植が行われている。これは死刑の執行をされた囚人から臓器提供がされていると他国で批判された問題に対して中国政府高官が認めている。この死刑囚からの臓器移植は中国においては「罪を犯した事に対するせめてもの罪滅ぼし」との儒教的思想による発想からきていると言われているが、行刑関係者が医療関係者から死刑囚の臓器提供の見返りに金銭を受け取っている事も明らかになっている。例えば台北時報2001年8月3日付けの記事によれば、江西省南昌で5月に処刑された男性の遺体が、腎臓移植のために死刑判決を出し死刑執行命令を出した地元裁判所によって地元の病院に販売され、遺族は裁判所から彼の遺骨を返す通知すら受けていないという。このように裁判所によって「移植ありき」の死刑執行の疑いがあり、移植患者にとって都合が良い(休みが取れる旧正月など)時期に大量に処刑されていると批判されている。そのため、2006年には臓器売買禁止法を施行した。だが、未だに臓器売買が行われていることがBBCの取材により明らかになっている。
新疆ウイグル自治区では政治的理由で死刑判決が中国国内で唯一行われている。2001年10月に新疆ウイグル自治区ホタンで公判大会で少数民族の人物が「武器窃盗」および「国家破壊活動」で有罪となり死刑宣告された直後に「自動的」に処刑された。そのためウイグル人の東トルキスタン分離主義者ないしテロリストを区別せずに処刑していると言われ、特に「アメリカ同時多発テロ」以降、イスラム教徒による政治活動も「テロリズム」として処罰していると言われている。また正式な死刑ではないが、主にチベットや東トルキスタン、また民主化活動家や法輪功信者に対して行われる拷問による獄死や、農民運動活動家に対する虐待死が起こっている。これらは、地方政府の役人が中央政府の方針を無視し、自己保身のために地元警察を使って自分達にとって不都合な者を殺害しているからだと言われている。当然これらの行為は裁判を経ていないため違法であるが、実態は不明である。その為、公表されている数字よりも死刑執行者ははるかに多いとする指摘もある。また、死刑執行数が多すぎるため、かえって社会に動揺が広がっているとの指摘がある。
香港の富豪が誘拐され身代金を奪取された事件では、死刑制度のない香港ではなく広東省の刑事当局に告訴したため、富豪の生命が奪われたわけではないが犯行グループが死刑になった。また日本で起きた福岡一家4人殺害事件の被疑者3名のうち2名が中国へ逃亡し裁判にかけられた際には、主犯は死刑になったが、従犯に対しては、主犯の潜伏先を自白した「捜査協力」と「自首」を認定し無期懲役に減刑された。従犯とはいえ、4人もの殺害実行に直接関与したにもかかわらず司法取引的な減刑を行なったことは、中国の刑事裁判の量刑の相場から著しく外れるものであるとして、日本側の一部や、中国国内の司法関係者から指摘された。この事件のように心神耗弱や情状酌量すべき事情が無いにも拘らず直接関与した者が死刑にならなかったのは中国国内では前例が少ない。そのため明確な判断基準が無く政治的・恣意的判決が日常的に行われている可能性が強いとの指摘もある。
オセアニア [編集]
オーストラリア、ニュージーランド共にいかなる場合も死刑を廃止している。ニュージーランドには死刑廃止後、復活させた事があったが、今日は死刑を非人道的として完全に廃止している。島嶼諸国も死刑廃止している。パプアニューギニアは10年以上死刑停止状態である。そのため、事実上死刑制度が存在しない。
アフリカ [編集]
アフリカ53カ国のうち13カ国が死刑廃止している。また20カ国が死刑執行していない。合計すると53カ国のうち死刑を行っていない国は33カ国である。政情が安定している南部諸国における廃止が目立つ。ただし、政情が安定している地域でも、アラブ圏ではイスラム法の影響もあり死刑存続している国が多い。フランスの文化的影響の強い西部アフリカ諸国は、死刑執行を一時停止しているか、国事犯を除く通常犯罪への適用を行っていない国が多い。
南北アメリカ [編集]
死刑制度があるのは、アメリカ合衆国(連邦政府及び36州)と中米のグアテマラ、キューバなど少数である。そのうちアメリカは先進国で最大の死刑執行数を記録しているが、多くの死刑執行はテキサス州で行われており、そのためアメリカのメディアが「死刑の格差」と報道しており、同州でこのような姿勢をニューヨーク・タイムズは「執行に対する住民の積極的な支持」、ロイター通信は「犯罪者に厳罰を科すことをいとわない『カウボーイ気質』のほか、一部で根強く残る人種差別意識がある」と報道した[19]。
ラテンアメリカ(南米)諸国の傾向として、78%の国が一般犯罪に対する死刑を廃止し、59%の国が完全な死刑を廃止している。死刑制度存続国も、10年以上死刑を執行していない。
アメリカ合衆国における死刑についても参照のこと
アメリカでは州法によって規定が違うため、死刑が続いている州と、死刑を廃止している州に分かれる。なお連邦では死刑制度を存置している。凶悪犯罪の少ない、裕福なニューイングランド諸州や裕福ではないが治安が安定している北部内陸州において死刑が行われず、貧しい南部諸州では死刑執行数が多い傾向にある。全米では被告人に対する死刑の宣告ならびに死刑執行は減少傾向にあるが、州によっては死刑執行の盛んな州もある。また、未成年に対する殺害を伴わない性犯罪の再犯者への死刑が適用される州法がサウス・カロライナ州、フロリダ州、ルイジアナ州、モンタナ州、オクラホマ州の5州で成立したが、殺人を犯していない性犯罪者に対する死刑適用は過酷であり、憲法違反であると法学者から強く批判されていた。なお連邦最高裁は2008年6月25日に「非道な犯罪であっても、被害者が死んでいない事件で死刑を適用する法律は、残酷な刑罰であり合衆国憲法に違反し無効」という憲法違反判断を下している。そのため、事実上この法律は見直される公算が大きい。
近年の犯罪捜査でDNA検査が導入され、過去に有罪で死刑判決を受けた死刑囚の冤罪が明らかになり、再審で無罪になるケースが多いという。1973年から2001年までにアメリカ国内では96名の死刑囚が釈放されているが、特にフロリダ州では21名も釈放されている。同州では、5名の死刑執行が行われる間に2名が無罪放免になったという。
2007年12月13日に、ニュー・ジャージー州議会が死刑廃止法案を可決し、アメリカ連邦裁判所が1976年に死刑は合憲との判断を下して以降で初めて死刑を廃止した州(実質的には1976年以降停止されていた)になった。同州には死刑囚8名がいたが、全員が「仮釈放のない終身刑」に減刑された。その死刑囚の中には、性犯罪の公表を定めた「ミーガン法」制定のきっかけとなった女児殺害犯も含まれているという。
死刑の適用に際して経済的人種的差別が存在しているとの指摘もある。これは、優秀で報酬の高い弁護士を雇用できるほどの経済力を持つ者が司法取引等で減刑される一方で、比較的貧困層の多いアフリカ系アメリカ人に対する死刑の適用が人口比と比べて多いとの指摘がある。
なお、2008年に死刑執行されたのは37人で、過去14年間で最も少なかった。アメリカでは、1976年に死刑制度が復活して以降、執行数は1999年の98人をピークに減少傾向にあり、死刑の代わりに終身刑を選択するケースが増えている。なお、「薬物による死刑執行が激痛を与える可能性があり、残酷で異常な刑罰を禁じた憲法違反の疑いがある」として訴えた件について、連邦最高裁が2007年9月に審理することを決めてから、2008年4月に合憲判決を出すまで全米で執行が停止していた